2024年10月11日。JRAは藤田菜七子騎手の引退届を正式に受理。
併せて、騎手免許も取り消しになりました。
週刊文春の報道で、藤田菜七子騎手のスマホ不正使用が発覚。藤田騎手に一時騎乗停止処分を伝えた際に、引退の意向を伝えられたとのこと。
11日、引退届と騎手免許取り消し願いを正式に受理。
以前の聞き取り調査の際に厳重注意をしたが、それは指導であり処分ではなかったとのこと。
また、厳重注意の対象者に関して名前を公表することは今後もないそうです。
藤田騎手の師匠でもある根本康弘調教師は「若手騎手6人がスマホ使用で騎乗停止処分になった際、藤田騎手はスマホ使用をJRAに自ら報告している。その際に厳重注意を受けている。今回の報道でまた処分を受け、本人も納得していないのでは」との旨を述べています。
藤田菜七子騎手の主張とJRAの発表
JRAの発表
2023年5月、若手騎手6人(今村聖奈、永島まなみ、古川奈穂、小林美駒、河原田菜々、角田大河)が騎手控室および調整ルーム居室でスマートフォンを使用していたとして30日間の騎乗停止処分とした。
その際、全騎手に聞き取り調査を行ったところ、藤田菜七子騎手はスマホの持ち込みと使用(YouTubeとTwitter)はしたが、外部との連絡には使用してないと回答したため、厳重注意処分とした。
また、若手騎手6人のうち、一部は藤田騎手と同じネットの閲覧だけだったが、藤田騎手はその当時持ち込みが認められていた調整ルーム内での使用であり、一部の騎手は持ち込み禁止のジョッキールーム内での使用だったため処分に差が生まれたとのこと。
しかし、週刊文春の報道で外部との連絡を行っていたことが発覚。
藤田騎手も認めたため一時騎乗停止処分としたが、引退の意向を伝えられ、後日正式に受理した。
厳重注意処分は「指導であり注意。施行規程上の処分ではない」として公表していませんでした。
当初の聴き取り調査で、藤田騎手は「他者との通信はしていない」と回答。後に通信を行っていたことが発覚し「虚偽の申告をしていたことが大きかった」とした。
藤田菜七子騎手の主張
週刊文春の報道を受けての聞き取り調査で、外部との連絡を認めた。
連絡を取ったのは厩舎関係者であり、JRAの職員ではないと主張した。
また、違反をした日以降はスマホは持ち込んでいないと述べています。
JRAは、騎手控室・調整ルーム居室にてスマホで外部と連絡を取る行為そのものを重要視しています。
藤田騎手は連絡を取った相手はJRAの職員ではなく厩舎関係者としているので、競馬開催における重大な不正行為にはあたらないと主張したかったのかもしれません。
JRAの落ち度
落ち度①:未発表による忖度の疑義
2023年5月のスマホ使用者6人を処分した際に、藤田菜七子騎手に対しては騎乗停止処分にはせず、公に発表もしていませんでした。
これは、スターである藤田菜七子騎手への忖度があったと思われても仕方がありません。
落ち度②:後手後手の対応と不可解な説明
週刊文春は日付のついたLINEの内容を入手し、通信相手の3人にも取材していた。そのうちの1人の発言には(交際していたころは)の記述があり、通信相手の1人は結婚したJRA職員ではないかとの憶測が広まった。
報道されることを事前に知ったJRAは藤田騎手を事情聴取。JRA職員の夫ではない「3人の厩舎関係者」と連絡を取り合っていたと認めたため、裁定までの期間を騎乗停止処分とした。
藤田騎手はそこで驚きの引退届の提出をした。
問題点は、この時点でJRAは、2023年5月に藤田騎手からスマホ不正使用の申告があり、既に厳重注意処分としていたことを発表していなかったこと。
後日、藤田騎手の師匠である根本康弘調教師は会見を開き、厳重注意処分を既に受けていた旨を述べ、もう一度処分をするのは違うのでは?と二重処分ではないかとの見解を示した。
JRAは何故か藤田騎手への厳重注意を発表していなかった。
「指導であり注意。施行規定上の処分ではないという理由で発表しなかった」としているが、
発表しない理由としては不可解であり苦しい説明です。
藤田騎手への忖度や、他のスター騎手も同様の行為を行っていたことを隠蔽しているのではないか、と思われても仕方がありません。
今回の発表も、週刊文春のスクープによりJRAは対応せざるを得なかった。
そして、引き続き「他に厳重注意処分をした騎手の有無を公表することはない」としています。
これでは、公営ギャンブルにおける重大な事案を隠蔽しているのでは?と憶測が出ても仕方がありません。
落ち度③:そもそもルールが甘かった
2023年5月時点で、はスマホの持ち込み自体は禁止ではなく
「ダウンロードしたレース映像の視聴は可能で、他者との通信は禁止」
というあいまいなルールでした。
スマホの持ち込み自体が禁止ではないのなら、
スマホの使用内容は個々の自己管理となり、
違反する騎手が出てくるのは当然の結果となります。
厳格にスマホの持ち込みを禁止している他の公営ギャンブルの競艇や競輪からは
「JRAのルールは甘い」と以前から指摘されていました。
甘いルールにもかかわらず、騎手に高い意識を保てというのはおかしい話です。
藤田菜七子騎手はなぜ引退した?
騎乗停止処分を受け入れて、また復帰したらいい話のはずですが、
なぜ藤田菜七子騎手は引退届を出したのでしょうか。
理由を推測してみました。
理由を推測①:結婚
藤田菜七子騎手は2024年7月に、JRA職員の方と結婚したと発表しました。
2023年秋頃から交際を開始し、1年足らずで結婚に至りました。
穏やかで優しい性格に惹かれたそうです。
結婚時に「今後も現役を続けますし、より一生競馬に精進してまいります」とコメントしていました。
推測ですが、結婚時に現役を続けると述べてはいましたが、引退の時期について考えていたと思います。騎乗停止処分は引退を決断する機会になったのではないでしょうか。
理由を推測②:レースで勝てなくなった
年度別のリーディングの順位を見ると、
- 2016年‐99位
- 2017年‐64位
- 2018年‐40位
- 2019年‐26位
- 2020年‐34位
- 2021年‐64位
- 2022年‐86位
- 2023年‐65位
- 2024年‐83位
2019年の26位と2020年の34位が良くて、翌年からは60~80位辺りをうろうろ。
壁にぶち当たっていたのでしょうか。
競馬は馬が7割と言われています。勝ち鞍を増やすには馬主や調教師の信頼を勝ち取り、より良い馬に乗る機会を増やすことが必要です。
他の騎手との兼ね合いもありますし、壁にぶち当たっていたのは間違いないと思います。
推測に過ぎませんが、騎手としての限界を感じていたり、出来る事は全てやり切ったと思っていたなら、騎乗停止処分の際に引退を選択したとしても不思議ではありません。
理由を推測③:引退届を書かされた
JRAが世間に知られたくない何か重大な事案を隠すため、藤田菜七子騎手に引退届を書かせて幕引きを図ったのでは?
公営ギャンブルで八百長に繋がる事案はあってはならないこと。藤田騎手を引退させて、他の悪い要素を全て闇に葬った可能性もあるかもしれません。
なにせ、週刊文春のスクープから明るみになったわけですから。文春の取材力を恐れたJRAが藤田騎手に引退届を書かせたとしても不思議ではありません。
あくまでも推測ですからね。
藤田菜七子騎手は泣きながら引退届を記入
師匠の根本康弘調教師の話では、藤田菜七子騎手は大泣きしながら引退届を記入していたそうです。
また、両親と旦那さんに相談しての結論とのことです。
結婚や成績以外の理由もあるのかもしれないですね。本人と身近な人以外、知る由もないのですが。
まとめ
後味の悪い結末になってしまいました。
著者個人としては、騎乗停止処分を受け入れて、また騎手として復帰して欲しかったです。
女性騎手として初のG1勝利も夢ではない逸材だと思っていましたから。
人生はまだまだこれから。次の道で頑張ってください。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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